宇宙から見たR8熊本地震
能登半島地震、ベネズエラ地震そして今回のR8熊本地震。どの地震もそれによってすべてを失い、最悪命をも奪うすさまじい自然災害です。私自身、地元の能登半島地震に約1週間建物の被害調査のために滞在し、家屋が倒壊し途方に暮れ、涙を流すお年寄りを見て心を痛めました。今でもあの婆ちゃんはどうしているんだろう、と時々夢に見ることがあります。
このような悲惨な被害をもたらす地震のことで記事を書くことで、両親が咎めることもないとは言えません。では、なぜ地震を題材として記事を書くかというと、例えば10年後とか、ひょっとして100年後とか、地震の予知が可能になるとしたとします。このような研究ですが、それ単独で、つまりうまく言えませんが、その研究だけで地震予知という成果にたどり着けるものではなく、例えば大学の学部レベルの学生の論文とか、民間の無数の研究記事など、ピラミッド状に積み重なった諸々の研究成果の土台の頂点にたどり着けるものです。
例えば高校生がこの記事を読んで、将来地震予知とか、今より高度なSAR衛星の開発などの分野に進み、地震予知をはじめ、人の命を守る分野に貢献してくれる可能性が、ほんのわずかでもあるのではないか、あってほしいと願って記事を書いています。
2026年7月28日16時27分頃、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1、最大震度7の大きな地震が発生しました。震源地は八代市と宇城市の市境付近で、都市の直下型地震といえるものでした。
7月31日、国土地理院はJAXAのSAR衛星だいち2号と4号のデータを用いて、地盤面の変動を解析しました。

北東方向から南西方向へ向かう黒い線が、日奈久断層帯です。国土地理院は、「日奈久断層帯の北西側の南部では最大約70cmの衛星から遠ざかる変動、北西側の北部 では最大約20cmの衛星に近づく変動、南東側では最大約15cmの衛星に近づく変動が見 られます。」と結論付けています。虹色の縞模様は干渉稿といって、地盤面の変位の方向を表しています。

精緻なデータを有能なスタッフが解析することで、このような結果を導き出すことができます。
個人が入手しやすいデータは、ESA 欧州宇宙機関が運用しているSentinel-1のSLCデータで、インターネット環境と空き容量がたっぷりあるパソコン(データ量が巨大)があれば、だれでも無料でダウンロードできます。このデータを加工して干渉SAR解析を行います。
結構複雑な処理をするのですが、Sentinel-1のデータを処理するSNAPという専用アプリがあって、自分でコードを書く必要がなくて楽々です。

で、個人がSentinel-1データを使ってどこまでできたか?
国土地理院の成果が長編大作映画だとすると、僕が作ったものはまるでB級映画の予告編です。白い点々が沢山あり、これはノイズで解析の対象とすることはできませんでした。変位の方向は、国土地理院の成果と一致していて、八代市から宇城市の地盤面は衛星から遠ざかる方向へ変化し(沈下した可能性)、熊本市は茶色で衛星に近づく方向に変化しています。
日本は地震だけではなく、大雨、台風等の水害や土砂災害など、自然災害大国です。地震等の発生は防ぐことはできませんが、このような個人でもできる解析をとっかかりとして、防災技術が進歩していってほしいものです。
