衛星画像を触ってみました。
今や衛星画像は簡単に無料で手に入る時代になっています。
1つ目は有名なアメリカのLandsat。
もう一つは欧州のSentinel-2。
Sentinel2の画像は、このサイトで簡単に触れることができます。
Sentinel画像ダウンロードサイト:Sentinel Image browser
衛星画像は光の波長の帯域(バンド)ごとにデータ化されています。Sentinel2の場合、可視光線がバンド1からバンド5、赤外線がバンド6から11になります。ざっくりとバンド2が青、バンド3が緑、バンド4が赤、バンド10あたりが近赤外線(SWIR short wavelength infrared)になります。

バンド4赤、バンド3緑、バンド2青をRGBの順番で組み合わせると、自然に近い色調の画像が出来上がります。いろんな組み合わせでどんな画像になるか、上記のサイトで試すことができます。
また、Rに近赤外線、Gに赤、Bに緑を割り当てたものはCIR(Color Infrared)と呼ばれ、植生を強調するための組み合わせになります。植物は近赤外を良く反射するので、赤い場所ほど植物が繁茂している状態を表します。裸地は黒から明るい褐色、市街地や海岸は青や灰色っぽい色になります。画像は石川県南部の越前加賀海岸国定公園にある保安林と海岸部の2022年10月の画像です。

画像の左下から右上にかけての大きな赤い塊が、砂丘が松林化した保安林。その北側の水色が海岸、さらに北の黒い部分が海です。海岸に薄いピンク色になっている部分があります。これは海浜植物の群生地で、冬の強烈な北西風に耐えようと地面にへばりつくように生えるけなげな姿を見ることができます。
こちらは2017年7月の同じ場所の画像を、同じくCIRで表示したものです。

2022年の画像と2017年の画像を比べると、2017年の方は保安林部分の赤黒さが濃くなっています。2017年の画像は7月、つまり夏ですので、2022年10月の秋の画像と比較して、植物が良く茂っているため色が濃くなっています。2017年の画像は農地の部分が赤くなっています。これは2017年は7月の画像なので稲が育っているため赤く映っているのに対して、2022年は10月で、稲刈り後の農地であることから裸地の褐色になっているためです。また、10月の画像でも赤く染まった田があります。薄い赤はおそらく休耕田で作付けせずに放置して雑草が生えたもの、濃い赤は稲以外の何かが作付けされた田ではないかと思います。
このように衛星画像は植物の生育の程度を色の濃さで表現することができます。そのうち稲の成長を衛星を使って観察し、稲刈りにベストの状態になったときに自動的に稲刈り機が出動するような時代になるかもしれませんね。
これらの画像の分解能(どれだけ細かく映っているか)ですが、分解能10m。簡単なイメージとしては、1ピクセルが10m×10mの100㎡ですので、1軒1軒の家を識別するような細かい作業には向いていません。昔「ピースメーカー」という映画で、衛星でトラックのナンバープレートを読み取る場面がありましたが、無料衛星画像のレベルでは絶対に無理。
砂漠化の広がり、海岸の浸食、氷河の消滅、あるいは植物の観察など、㎢を単位の作業には使えそうですね。